東京地方裁判所 平成7年(行ウ)259号 判決
原告
株式会社営和建築設計事務所 (X)
右代表者代表取締役
赤川猛
右訴訟代理人弁護士
和田敏夫
被告
東京都知事(Y) 青島幸男
右指定代理人
友澤秀孝
同
宮本治樹
同
鈴木朗
事実及び理由
第三 争点に対する判断
一 争点1(本件納付通知の処分性)について
地方税法七二条の四五第一項及び二項によれば、納税者が法人の事業税を納期限後に納付する場合においては、その税額に所定の滞納の期間の日数に応じ、所定の割合を乗じて計算した金額に相当する延滞金額を加算して納付しなければならないこととされており、法人の都民税についても、同法六四条一項及び二項により同様の定めがされている(なお、東京都都税条例においても同様の規定がされている。乙五号証)。すなわち、地方税の本税に附帯する延滞金の納付義務は、本税についての納期限の徒過という事実があるときには、特別の手続を要することなく、当然に成立し、その額が定まるものである。したがって、延滞金の納付書の送付という本件納付通知自体は、延滞金の納付義務の成立及びその額の確定に関して何らかの影響を及ぼすものでなく、原告の権利義務ないし法律上の地位に何らの影響を及ぼすものでないから、地方税法一九条ないし行政不服審査法による行政不服申立ての対象となる処分に当たらないことは明らかである。
原告は、本件納付通知が、これに応じなければ引き続いて滞納処分を受けるという地位に原告を立たせるものであるし、納付義務を減免しない旨の意思表示を含むものである旨主張する。
しかしながら、延滞金の納付書の送付なるものは、督促のように滞納処分の前提となる手続として地方税法等の法令に定められた手続ではなく、甲三号証の一及び二によれば、本件各延滞金の納付書は、滞納者である原告に対して、その納付をしょうとすると共に、金融機関に納付する場合の便宜を図るためにいわゆる行政措置として送付されたものと認められるのであって、本件納付通知の有無ないしその適否が原告に対する滞納処分の手続を左右するものでないことは明らかである。また、納付書の送付の右のような性質からすれば、これ自体をもって延滞金額の減免の有無が確定するものとはいえないし、乙六号証及び弁論の全趣旨によれば、延滞金額の減免については、東京都都税条例施行規則(以下「施行規則」という。)四一条及び四三条により、減免を受けようとする者は、減免申請をすることとされていること(なお、原告は、右減免申請の手続は、地方税法六三条三項、七二条の四五第三項の減免とは別に施行規則自体で別途減免事由及びその申請手続を定めたものである旨主張するようであるが、同法二条及び三条によれば、地方団体の規則をもって独自に延滞金額の減免を定めることはできないと解されるのであって、施行規則四一条、四三条の規定からすれば、右規定が、延滞金額の減免について地方税法の各税目において定められている「やむを得ない事由」という減免事由を具体的に示した上でその申請手続を定めたものであることは明らかである。)、原告が減免申請をしていないことが認められるから、本件納付通知をもって、延滞金を減免しない旨の意思表示をしたものともいえない。したがって、原告の主張はいずれも理由がない。
二 争点2(本件公売予告通知の処分性)について
地方税法六八条六項、七二条の六八第六項によれば、法人の事業税及び都民税に係る地方団体の徴収金の滞納処分については、国税徴収法に定める滞納処分の例によることとされているところ、公売予告通知については、国税徴収法に定める滞納処分において特に規定がないことはもとより、地方税法等の法令においても特に規定がなく、それ自体が公売手続の前提要件となる手続ではないことは明らかである。そして、〔証拠略〕によれば、公売予告通知は、その指定期日までに滞納金の納付がなければ近日中に公売を行う旨を予告的に通知して、滞納者の自主的な納付をしょうようするためになされるにすぎないものと認められる。したがって、公売予告通知は、これによって滞納者の権利義務ないし法律上の地位に何らの影響を及ぼすものでないから、本件公売予告通知が地方税法一九条ないし行政不服審査法による行政不服申立ての対象となる処分に当たらなことは明らかである。
(裁判長裁判官 富越和厚 裁判官 竹田光広 岡田幸人)